市民による諫早干拓「時のアセス」報告書要旨

3. 防災 防災計画とその虚実
(関西学院大学総合政策学部教授 片寄 俊秀氏)

●洪水対策に効果はない。

これまで農水省および長崎県は、あたかも諫早湾干拓事業が、諫早大水害における人身被害を防ぐための防災事業であるかのような説明を行ってきたが、洪水被害は上流域で発生しており、諫早湾干拓に上流域の災害を防ぐ効果はない。

●低平地湛水災害対策は不完全であり、排水機の増設などによる別途対策が必要。

潮受堤防完成後も浸水災害は度々起こっている。一部では、水はけが良くなったと認められる箇所もあるが、並行して進められた、排水機場や排水路の整備の効果と考えられる。
従前と変わらない、あるいはむしろ水はけが悪くなった、という箇所も多く、結局、低平地の水はけをよくするためには、水路の整備と浚渫とポンプの増設による強制排水の強化しかない。

●高潮対策には効果があるが、水門は平常時開放が可能

潮受堤防の水門を平常時開けておいても、気象観測により台風の接近を予想して、あらかじめ来襲の前に水門を閉めて水位を下げることで、高潮対策は可能である

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