市民による諫早干拓「時のアセス」報告書を発行

 諫早干潟緊急救済東京事務所では、諫早干潟緊急救済本部、WWFジャパンと共同で行った、研究者と市民による独自の諫早湾干拓事業の再評価作業『市民による諫早干拓「時のアセス』の結果をまとめた報告書を作成し、2001年4月のシンポジウムで発表しました。その内容(要旨)と報告書の頒布についてご案内します。なお、この報告書の内容については近日中にその全文を当ホームページに掲載する予定です。

■市民による諫早干拓「時のアセス」とその報告書について

 国営諫早湾干拓事業については、深刻化する有明海のノリ不作・漁業不振をきっかけに事業の根本的な見直しを求める声が強まっています。折しも2001年度には、事業主体である農水省が、事業の再評価(時のアセス)を実施する予定です。
 諫早干潟緊急救済東京事務所では農水省の事業再評価に先立ち、市民の立場から独自に諫早湾干拓事業の再評価を行い、『市民による諫早干拓「時のアセス」』報告書としてまとめました。

 私たちの再評価の結果では、かねて多くの研究者などからも指摘されてきた様に、諫早湾干拓事業は、事業目的である農地造成の実現性が低く、防災効果が不完全であり、さらに有明海などの環境への影響が非常に大きいなどの問題が改めて確認されました。
 特に、私たちの試算では、事業の費用対効果が0.30程度に過ぎず、この事業は、土地改良法に基づく国営干拓事業としての要件を満たしていない、つまり違法な事業である*との結論に至りました。
 更に私たちが心配することは、農水省による再評価が、一般に対して十分に公開されないまま、事業の追認に終わることです。

 今、有明海は深刻な漁業不振に陥っており、漁業関係者は、諫早湾干拓事業のあり方に重大な関心を寄せていますが、現行の農水省の手続きによれば、諫早湾干拓事業の再評価において、有明海の漁業関係者の意向をくみ取る仕組みは、全くありません。
 もちろん今や、諫早湾干拓事業は、干潟・沿岸環境の保全という意味、また公共事業全般の見直しという意味など、様々な意味で国民的な関心事であり、漁業関係者に限らず、広く一般の意向を聞かなければ、本当の意味での事業の再評価はできないと思われます。
 私たちが、農水省の事業再評価に先立って、この様な報告書を発表したねらいは、まさにここにあります。再評価に当たっての透明性、公開性を高め、本当の意味での事業再評価となることを強く願い、より多くの方に、諫早湾干拓事業の再評価に注目していただきたく、この報告書をまとめました。

 もちろん私たちも、この報告書がすべてだと考えているわけではありませんので、不十分な点などありましたら、何なりとご意見・ご指摘を頂ければ幸いです。

土地改良法及び関係法令は「事業のすべての効用がすべての費用をつぐなうこと」つまり費用対効果が1を上回ることを要件としています。

■報告書の内容(要旨)

  1. 序論 「時のアセス」―農水省版と市民版(諫早干潟緊急救済東京事務所)
  2. 営農 営農計画の諸問題(農政ジャーナリスト 青木 智弘氏)
  3. 防災 防災計画とその虚実(関西学院大学総合政策学部教授 片寄 俊秀氏)
  4. 環境 諫早湾干拓アセスと有明海異変(長崎大学教育学部教授 東 幹夫氏)
  5. 財政 費用対効果評価(愛知大学経済学部教授 宮入 興一氏)
  6. 総括 市民版再評価結果(諫早干潟緊急救済東京事務所)

■報告書の頒布について

 報告書をご希望の方は以下の要領で頒布いたしますので、郵便振替にてお申し込みください。なお、報告書の全内容はホームページ上でPDFデータでの無償配布も行っております。ご不明な点は諫早干潟緊急救済東京事務所までお問い合わせください。

 市民による諫早干拓「時のアセス」報告書(A4判 98ページ)

  • 頒価 1000円(税込み)
  • 送料 290円
  • ご希望の方は郵便振替用紙の通信欄に「諫早干拓『時のアセス』報告書○冊希望」とお書きの上、下記の郵便振替口座に代金と送料をお振り込みください。
  • 郵便振替口座 00140-3-402895
  • 加入者名   諫早干潟緊急救済東京

※市民による諫早干拓「時のアセス」プロジェクトは
 
(財)トヨタ財団の市民活動助成と(財)日本自然保護助成基金の助成を受けています。


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