長崎参院選候補者への公開質問状と回答

 諫早干潟緊急救済本部では、参議院選挙長崎選挙区に立候補した4人の候補
者に対し、諫早湾干拓事業に関する公開質問状を提出し、回答を得ました。

 自民党松谷蒼一郎氏は電話で各質問には答えず、『推進の立場』と回答して
いただけました。共産党西村きえ子氏、自由連合寺岡一子氏、無所属光野有次
氏は質問状に回答していただけました。<届け出順>


【1】21世紀環境委員会が「無駄な公共事業」緊急リスト作成のためのアンケ
 ート調査を全国の環境保護団体、住民団体その他NGOを対象に行いました。
 そのアンケートで無駄な公共事業ワースト2に選ばれましたがどのように思
 いますか。
  1 真摯に受け止めるべきである  2 まちがいである
  3 なんともいえない

  西村氏 1
  寺岡氏 1
  光野氏 1
 
【2】本明川の氾濫による諌早市街の洪水は、この干拓事業では防げないこと
 を元干拓事務所長が裁判で認めていますが、どのように思いますか。

  西村氏「その通りで、干拓事業では本明川の氾濫による諌早市街の洪水は
      防げません。」
  寺岡氏「本来防災を主眼としている事業で元事務所長の発言は事業そのも
      のが“ごまかし”であることの象徴だ。」
  光野氏「中間報告(諌早湾防災検討委)にもそのようのに記載してありま
      すので その通りだとおもいます。」

【3】同様に、常時排水が出来るのは天気のよい日や小雨の時であり大雨時の
 自然排水ができないことを認めていますが、どのように思いますか。

  西村氏「少し強い雨が降ると、自然排水ができず周辺が広範囲の湛水にみ
      まわれたのは、堤防締め切り後の実態から明瞭な事実です。」
  寺岡氏「諌早干拓事業は当初、伊勢湾台風・諌早大水害の時と合わせた降
      雨量に耐えられることが前提となっており、大雨時に対応できな
      いような事業であれば意味がない。」
  光野氏「技術者であり、現場の責任者でさえある方が、そのようのに認め
      ています。私もそうおもいます。」

【4】農水省は震度5以上の地震はないとして、耐震設計をしていますがどの
 ように思いますか。

  西村氏「とんでもない誤りです。阪神大震災は震度5以上であり、佐賀県
      東与賀町の海岸堤防で震度5以上を想定して、建設省が補強工事
      をやっていることと矛盾します。」
  寺岡氏「農水省が震度5以上の地震はないとなにを基準にいっているのか
      疑問だ。」
  光野氏「この地域に震度5以上の地震がないという保障はないので、それ
      が事実なら将来に不安を残すことになるとおもいます。」

【5】潮受堤防の外側での水産生物の水揚げ高が減少しておりますが、干拓工
 事による影響だと思いますか。
  1 思う  2 可能性がある  3 思わない
  4 その他(                    )

  西村氏 1
  寺岡氏 1(タイラギ漁などはその典型だ。)
  光野氏 2

【6】新しい干拓地は遊水池として使用され、さらにゼロメートルの土地にな
 りますが、優良農地として使用出来ると思われますか。

  西村氏「雨が降るとポンプで排水せねばならず、塩分がぬけない土地では
      佐賀の例を見ても野菜づくりにはむかず、とても優良農地とはい
      えません。」
  寺岡氏「昨年10月に一部堤防が欠壊したとの情報もあり、ゼロメートルの
      農地は、今の状態で進むとすれば優良とはいえない。」
  光野氏「水田以外の利用はかなり無理があるのではと思われます。」

【7】調整池の水はかんがい用水や雑用水として使用されると言われています
 が、岡山県の児島湖の例と比較して使用出来ると思いますか。
  1 使用出来ると思う  2 可能性がある  3 思わない

  西村氏 3
  寺岡氏 3
  光野氏 2

【8】この事業は土地改良事業であり、当初、農水省は投資効果を計算し
 1.026としています。現在、予算は2370億円に膨れ上がり、財政学者の試算に
 よると投資効果は0.584と算定されています。このことに対してどう思われま
 すか。

  西村氏「効果が費用を上まわることを条件づけている土地改良法に違反し
      ており、現時点での効果と費用を責任もって公表し、再検討しな
      ければならない。」
  寺岡氏「営農計画も不確な中、今の日本経済の状態で農水省のいう投資効
      果はないとおもう。」
  光野氏「 もしそれが事実なら、大変な無駄遣いといえます。」

【9】新聞による世論調査、東洋大学社会学部アンケート、模擬住民投票の結
 果では県民や諌早市民の過半数以上が見直しを表明していますがどのように
 思われますか。

  西村氏「国民、県民、市民のいずれの世論も見直しを求めており、その声
      を尊重して見直すのが民主的なあり方です。」
  寺岡氏「関係市町村の住民で住民投票ができればいいのだが、市民の多数
      がそうではないか。」
  光野氏「現時点での県民や市民の素朴な感覚からすればそのような結果が
      でるだろうことは予測できます。」

【10】市町村議会や県議会は推進決議を採択していますが、民意を反映して
 いると思われますか。
  1 議会は民意を反映している  2 議会の決議がすべてではない
  3 その他(                    )

  西村氏 2
  寺岡氏 2(県議会で議決した時と今では状況が違う。)
  光野氏 3(基本的に議会の決議は尊重されねばなりません。しかし、時
        代の流れや新しく情報が公開されることで同じ条件について
        も別の決議がなされる可能性も否定できません。)

【11】国営諌早湾干拓事業は今後どのように展開されるべきだと思いますか。
  1 そのまま推進すべき   2 見直すべき

  西村氏 2
  寺岡氏 2
  光野氏 3(その他)→【12】 《本部注》自らその他を付け加えてきた

【12】見直すべきだとすると、具体的にどのようにするべきだと思いますか。

  西村氏「営農計画の見通しすら示せない事業は、ただちに見直し中止すべ
      きです。水門を開けて潮を入れ、干潟と自然の再生をはかるべき
      です。」
  寺岡氏「自然保護と防災効果の再点検をし、農水省、県干拓室が情報を公
      開し住民の意志を確認することが大切!一部学者の先生方の代替
      案などにも一考の余地あり。」
  光野氏「必要な情報公開を求め多面的な検証を行った上でどうするかを議
      論すべきである。」


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