イサハヤの野鳥(4) ---ズグロカモメ---
執行利博(日本野鳥の会長崎県支部事務局長)
名は体を表すの通り、頭から首まで黒褐色、白いアイリングがよく目立つ。
全長32センチ、中国東北部で繁殖し越冬のため有明海や北九州にやってくるが、特に諌早湾には約300羽、世界中のズグロカモメの約1割がここに集中していた。96年および97年6月には中国遼寧省盤金市の双台河口国家級自然保護区においてズグロカモメ237羽に赤色のプラスティック足環が装着され、97年1・2月には北九州市曽根干潟でも22羽に黄色の足環が装着された。渡りのルートを解明し、絶滅の危機に瀕した野鳥の保護対策を日中共同で進めるためである。その結果、中国を飛び立ったものは、九州ばかりではなく四国などにも飛来したり、あるものは九州内を往来していることも判明、その他貴重な知見を得ている。
2月1日の諌早湾のカウント調査では135羽が確認された。今後の変化を注意深く見守るとともに、野鳥の会も水門開放に向けて、イサハヤを考える議員の会や干潟救済本部と連携し努力したい。野鳥の楽しみ方は鳴き声やしぐさなどいろいろだが、ズグロカモメは羽色の変化がおもしろい。渡去の3月ごろになると、頭から首にかけての白色が、名前の通り黒褐色に大変身する。旅立ち前のドレスアップというところか。今期限りではなく来期も飛来し私たちの心を和ませて欲しい。
*イサハヤ干潟通信第6号より転載*