市報いさはや「市議会だより」No.75より
9月の諫早市議会での干拓問題に関する質疑応答
以下は、市報いさはや「市議会だより」No.75の、6月定例会の質疑応答の要旨を掲載した記事から、干拓問題について取り上げた2人の議員の部分の抜粋です。
堤 勝義 議員
諫早湾干拓事業のなお一層の促進について
議員
(1)来年度予算の確保の予定と見通し、及び事業計画について。
(2)現干拓地の湛水防除事業に関わる、排水路改良整備の計画と事業の進捗状況について。
(3)新干陸地の干拓までの暫定的な排水路(みお筋)の浚渫計画について。
(4)調整池の水質保持に関する農業集落排水事業の個人負担の軽減策について。
(5)新干拓地への農家の入植に先だって、干拓地農家の経営の指針を作るため、官民による実験農場を作る考えはないか。
市長
(1)国の概算要求は前年度並みと聞いており、予算確保のため、国に強く働きかけたい。来年度は、潮受け堤防工事の完成と併せ、内部堤防工事に本格的に着手する予定と聞いている。
(2)農地の湛水を防止するため、平成二年度から県営の排水対策特別事業とかんがい排水事業を実施中で、平成十六年度の完成をめざしている。なお、現在の進捗率は六六%である。
(3)潮止め以前に樋門前のみお筋に堆積していた潟の浚渫については、関係機関にお願いし、浚渫するとともに今後も関係機関に要望していきたい。
(4)長田地区の農業集落排水事業は、現在、順次各世帯の宅内配管等の工事が実施されている。この宅内工事に係る費用を、受益者が供用開始から三年以内に農林漁業金融公庫資金を借入れた場合は、借入額百万円を限度に、五年間の利子の全額を補給し、住民の負担軽減を図りたい。
(5)官民一体の実験農場については、夢のある営農実践のためには、大変重要である。
江頭 学 議員
国営干拓事業の見直しについて
議員
(1)耕作放棄農地の増大、全国六十七万ヘクタールの減反に再なる減反計画、農・畜産物輸入自由化による国内生産の減少、入植希望者の見とおしもない優良農地の造成は税金の無駄遣いと考える。こういった状況の中でも、今だ優良農地経営が成り立つと考えているのか。
(2)洪水対策も河川の改修と堤防嵩上げ、また、河口部の高潮対策は高潮堤防、防潮水門、排水ポンプの組み合わせで行なうのが普通のやり方ではないのか。
(3)農業集落排水事業等も文化的生活の改善との観点ではなく、干拓事業に伴った調整池の水質悪化防止のため優先しているようである。必要性を感じない家庭まで加入させられ、高額な負担金を強いられてくるのではないのか。
市長
(1)農地を増やして食料自給率を少しでも引き上げることは重要であり、そのためには、干拓により平坦で広い優良農地を造成することが必要であると考える。また、県が実施した諫早湾周辺地域の農業者を対象としたアンケート調査では、約四十%の増反、入植希望があっており、若い担い手農業者の割合が高いこと等から増反、入植の見込みはあるものと判断する。
(2)理論的には可能であるが、膨大な時間と予算が必要である。潮受け堤防により高潮を防ぎ、外海と遮断した調整池を作り、水位の調整を計りながら常時排水を可能にする方法が最も優れた方法である。
(3)農業集落排水事業は文化的生活改善のための事業である。干拓事業のための新たな追加負担はない。