諫早湾自然の権利訴訟 1999年10月23日現地検証指示説明書

(2)潮受堤防管理センター
原告側
指示説明
 排水門は六分ほどで上下の操作が完了する。排水門によって調整池の水位がコントロールされている。常時は排水門を空けて調整地内の自然生態系を可能な限り保全し、高潮などを予見して災害対策のために調整池内の水位を維持すべきである。
 災害対策と言うことであれば、四八時間、七二時間後の潮位変動と気象予想(気象衛星などの観測システムが充実している原状からすれば気象予想は可能である)の組み合わせにより、必要に応じて排水門を開閉することは可能である。
 なお、管理センターには排水門操作マニュアルが存在するが、そのマニュアルの形状、設置の位置などを検証されたい。
原告側
指示説明
 南北排水門を操作して調整池水位を適正に管理するための施設である。排水門の操作は、排水門周辺を監視するテレビカメラのモニター等により、安全確認と機器の操作状況を確認しながら、操作盤により行われている。グラフィックパネルには気象データ及びゲートの制御状況等が表示され、操作状況が一目で分かるようになっている。
(3)北部排水門
原告側
指示説明
 諫早干潟外受け堤防により締め切られた結果、海とは区別された河口と取り扱われるべき状態になっている。調整地が河口として河川として扱われた場合には管理者は国から県知事に移り、長崎県条例で定められた水質基準を満たされなければならねくなるが、現状では海と位置づけられ被告が管理している。
 諫早干拓事業の見直しを求める本件訴訟では排水門を常時開けることにより、潮受け堤防内の自然生態系を可能な限り維持し、かつ、腐食してしまわないうちに内水を有明海に流し、有明海の自然生態系を可能な限り維持しておくことは取り返しのつかない結果をできるだけ回避すると言う意味で重要である。
 排水門を常時は開けておくことについては、被告は樋門を通過する海水による排水門護床の損傷が問題となりできないとしている。しかしながら、本件排水樋門外海側は堅固な構造となっており調整池から外海側に水が排出される分には問題はない。海水の流入については、護床の強化により保護を図ることは可能である。
被告側
指示説明
 北部排水門はゲートの幅200メートルで、長さ33.35メートル、高さ9メートルのゲートが6門の構造となっている。南部排水門はゲートの幅50メートルで、長さ25メートル、高さ9メートルのゲートが2門の構造となっている。排水門の動力源は電力であり、停電等に備えて予備発電装置も設置されている。南北排水門の排水量は最大毎秒約6100トンである。
 なお、本件事業計画上、排水門の開放は考えられない(乙第二四号証40ページ)。


潮受堤防管理センター室内


北部排水門


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