「干潟を守る日1999」諌早宣言


 諌早湾が閉められ2年目を迎えました。この間、国内外を問わず、諌早干潟回復を願う多くの人々の熱い思いにもかかわらず、排水門はいまだに開放されていません。

 しかし、諌早湾の閉め切りは、日本の公共事業の在り方に対する国民的な大きな批判を呼び起こしました。昨年春には、干潟や湿地の保全に関心を寄せる全国の多くの方の賛同を得て、諫早湾閉め切りの日である4月14日を「干潟を守る日」とすることが宣言されました。また、干潟と人間の関係にかかわって、干潟・湿地保全の重要性が大きな世論となり、各地の運動はかつてない、大きな盛り上がりを見せています。

 伊勢湾藤前干潟では、昨年暮れの「国際湿地シンポジウム'98藤前」を契機に、埋立計画に対する広範な世論の反発と環境庁の歴史的決断もあり、ごみ処分場による埋立てはついに中止されるに至りました。東京湾三番瀬でも、知事が埋立計画の縮小発言をせざるを得ないところまで運動は前進し、油断のならない状況ではあるものの、あと一歩で計画中止というところまで来ています。


 このことは日本の干潟・湿地保全運動にとって画期的なことであります。日本でもようやく真っ暗な長いトンネルをくぐり抜け、曙光が見え出したといえるでしょう。しかし、一方ではアセスメント法が施行される6月12日を前にして、干潟の駆け込み開発も目白押しです。また、従来から計画されている干潟をめぐる巨大公共事業の見直しも遅々として進んでいません。

 私たちは、4月14日を中心に、全国各地で干潟・湿地の保全と回復を求める声をさらに強めて、もうこれ以上、一坪たりとも干潟・湿地を消滅させ、またその価値を失わせるような開発を行わない、という大きな国民的うねりを盛り上げる必要があります。ラムサール条約締約国会議が開催される今年は、その最大のチャンスでもあります。

 以上をふまえ、1999年の「干潟を守る日」を迎えるに当たり、以下宣言します。

一、私たちは、1997年4月14日の諌早湾閉め切りの日を胸に刻みつつ、干潟・湿地の価値を知り、貴重な干潟・湿地をこれ以上失うことがないよう、干潟・湿地を守りながら共に生きていく道を選びます。

二、私たちは、干潟・湿地に親しみ、干潟・湿地を守り、その回復をもとめ、干潟・湿地と共に生きる人々の輪を更に大きく広げて行きます。

三、私たちは、すべての開発目的を失った諌早湾干拓事業の見直しを行い、直ちに排水門を開放し、干潟を回復することを強く要求します。

四、私たちは、アセスメント法施行を目前にした駆け込み的な開発事業と、時流にそぐわなくなった従来からの開発計画の強行によって、干潟・湿地を消滅させ、また機能を失わせることに対し、これに抗議します。そしてこれらの事業計画に携わる人々に対し、干潟・湿地の保全を求める国民的、国際的世論に耳を傾け、事業の見直しと干潟・湿地への影響の回避を実現することを求めます。


1999年4月3日
干潟を守る日1999 in 長崎・諌早干潟
プレ・ラムサールシンポジウム


TOP PAGE | INFORMATION | REPORT | LINK | LIBRARY