国営諫早湾干拓事業に関する再質問主意書と回答
二 調整池の水質関連
1. 最近、潮受堤防の外側のアサリ漁場や海苔養殖場の一部に漁獲高や生産高に顕著な低下が見られ、本件調整池の排水との因果関係が指摘されている事実を認識しているか。この点について、農水省、環境庁として、早急に現地でのヒアリングを含む調査を行う用意があるか。
(答) 諌早湾湾口部に近い佐賀県沿岸の一部で、のりの生育不良及びアサリの漁獲量の減少がみられること等についての新聞報道があったことは承知している。
今後とも、環境モニタリングの一環として諌早湾湾口部及び湾中央部の水質調査等を継続して実施していくこととしているところである。
2. 農水省の平成9年10月29日発表の水質に関する報告の中で、調整池のCOD等の数値は環境影響評価の目標値(平成12年目標)に近い水準で推移している旨の記述があるが、そのように最近になって水質が安定した理由は何か。そこで述べている3項目の水質保全対策と因果関係があるのか。単なる季節的要因(農閑期、秋の少雨、水温の低下など)に過ぎないのではないか。政府の見解を示されたい。
(答) 調整池の水質は、現在、淡水化に向かう過渡的段階にあり、安定した状熊にないことから、今後とも注意深く水質の監視を続ける必要があると考えている。
3. 調整池の水質保全のために本件事業予算からどの程度、どのような目的で出費したか、また、今後どの程度の出費を予定しているのか。
(答) 平成9年4月の潮受堤防の締切りにより造成された調整池の水質保全対策として平成9年度に支出した額は、12月時点までで、局所的なアオコ発生等不測の事態への対応等としての曝気装置、水流発生装置及びアオコ回収装置の配備並びにヨシの試験植栽に約1400万円、水質調査に約2800万円となっている。
平成10年度以降の水質保全対策については、諌早湾干拓調整池等水質委員会の助言等を踏まえ、検討することとしている。
4. 農水省は調整池の淡水化で近隣の塩害が防止できるとするが、その効果はどのようなものか。また、淡水化によって干拓地の塩抜きにどの程度の効果があるのか。さらに、干拓地の造成まで淡水化しないことによって、その後塩抜きのために余分にかかる費用はいくらか。
(答) 調整池の淡水化による近隣への塩害防止効果は、農作物への潮風害の軽減や農業用水路への海水の流入による農作物の生育障害の防止等である。干拓地の造成に先立ち調整池の淡水化を行うことは、干拓予定地の除塩を行うための効率的な対策であるとともに、近隣への潮風害の軽減のために必要であることから、それ以外の方法については検討していない。