二カ国間渡り鳥条約・協定相手国宛の手紙(翻訳)
To: Mr. Victor Danilov Danilyjan (Russian Federation)
[Mr. Robert Hill, Australia / Mr. Peter O. Thomas, USA]
From: JAWAN, WBS-J, WWF-J
謹啓
日本の環境庁がシギ・チドリ類中継地または越冬地として重要であるとして9月8日に発表した12か所のうち、私たちは少なくとも6か所が公共事業による重大な危機にさらされている事を確認しています。これらの公共事業はシギ・チドリ類の生息地としての価値を徹底的に減少させてしまいます。
環境庁がシギ・チドリ類渡来地目録を出版したことについて、私たちは賞賛するものですが、私たちとしては日本政府が意識的に日ロ渡り鳥条約(日豪渡り鳥協定、日米渡り鳥条約)を侵していると考えざるを得ません。この条約(協定)は、両国に「…(条約に含まれる)鳥類の種の生息環境を保全しかつ改善するために適切な措置をとるように努力」する([豪]「適切な処断を講じて環境を保全し、増進し」また、「それらの鳥たちとその環境とに対する被害を防ぐよう努力する」/ [米]「適切な処断を講じて環境を保全し、増進し」また、「それらの鳥たちとその環境とに対する被害を防ぐよう努力する」)ことを求めています。
公共事業の見直し機構を確立せよとの大きな全国的な動きが弾みをつけてきており、今年諌早湾が海から遮断されて以来その動きはこれまでにないレベルにまで高まりました。諫早干拓事業は経済的にも技術的にも不健全であると同時に、野生生物の生息地と、持続可能な漁業を破壊するものです。90人の会員を抱える「諫早湾を考える国会議員の会」が結成され、事業の見直しを要請する全国的な署名が300,000も集まりました。
私たちは、政府のあからさまな矛盾を二国間渡り鳥条約/協定の締約国、特にオーストラリア、ロシア、およびアメリカ合衆国にお知らせすることが私たちの義務と感じております。矛盾というのは、諌早湾が重要なシギ・チドリ類生息地であるとの認識を持ちながら、シギ・チドリ類の生息地としての価値を破壊してしまう公共事業の見直しを拒否していることです。また、諌早湾は決して孤立した例ではなくて、ロシア極東とアラスカで繁殖し、オーストラリアで越冬するシギ・チドリ類たちが使っている他の多くの生息地を脅かす一つの流れを代表しているることを指摘することも必要なことです。
私たち両国に共通の渡り性のシギ・チドリ類を保護する義務を、日本政府がより注意深く順守するよう励ますために貴国政府が何をなさっているかをお知らせください。お読みくださったことを感謝いたします。
敬具
(署名)
代表・山下 弘文
日本湿地ネットワーク
国際関係事務所
769-29香川県大川郡引田町黒羽279-1
(署名)
会長・畠山 向子
(財)世界自然保護基金
105東京都港区芝3-1-14日本生命赤羽橋ビル6F
(署名)
会長・黒田 長久
(財)日本野鳥の会
150東京都渋谷区南平台町15-8ウッディビル2F
同文発送:
大木 浩環境庁長官様
秋葉忠利衆議院議員様
ダニエル・ビアード合衆国オーデュボン協会元老副会長様(アメリカ合衆国)
ダグ・ワトキンズ様 世界湿地連合(アジア太平洋地域)