防災について(低地の排水対策問題など)
宮江伸一(金沢大学教授;工学部)
何年かに一度の降雨量に対しても安全なように大容量の排水ポンプを設備すればよいが、設備費・維持管理費・運転利用効率から経済的とは思えない。これに代わって、干拓農地の堤防内に大容量の貯水池を設け、常時一定量の淡水を貯水しておいて干拓農地のかんがい用水として利用し、降雨が予想される際には予め排水ポンプで堤防外へ一定の水位まで排水しておいて、干拓地への降雨による急激な増水をこの貯水池で一時的に貯水する方策が有効と考えられる、この方式では従来のポンプ設備での直列運転と並列運転によって対応も可能である。したがって、日常的に浸水被害が発生する地域では排水ポンプの増設による排水機能の改善が必要であり、数年に一度の浸水被害に対しては貯水池を設置する方が得策と考えられる。
潮受堤防が存在しない場合には堤防内の排水はポンプによって強制的に排水することになる。したがって、満潮時には−1mから2.5mまで揚水する必要から、揚程が約4mで最大雨量×浸水被害面積に相当する揚水量のポンプを設備する必要がある。
潮受け堤防の構造
調整池より海側へ排水することを目的として設計されたもので、調整池側にはコンクリート護床28mと1tのブロック護床を20mで合計48m、海側にはコンクリート護床22mと3tのブロック護床が35mで合計57m敷設されている。したがって、海側へ排水する際には約8m/sの流速にも安全なようになっているが、調整池側へ外海から潮を流入させる際には護床が損傷しないような流速に調節すれば何ら支障なく流入させることができる。