諫早湾干潟の地域経済効果の再評価の必要性

 干潟の自然環境の重要性について、保全活用の経済効果の側面からも再検討すべき時である。複雑な自然生態とスケールの大きさに加えてムツゴロウの存在などで知名度が上がった現在、諫早湾は近年急速に伸びている環境学習型観光「エコツーリズム」の対象として、尾瀬沼あるいは白神山地をも凌駕する、国民的な人気観光地になる可能性がある。環境の持つさまざまな魅力に加えて、地域の特産物を生かした食文化と、噴火の終結した雲仙普賢岳、さらに「島原の乱」の歴史の地との組み合わせルートの価値は高い。

 長期的不況に加えて、この夏の連続した台風襲来による打撃で、近隣の九州地域中北部の各観光地、島原、天草、雲仙、長崎、さらには別府、湯布院、阿蘇、嬉野、有田、ハウステンボスなどはいずれも苦戦している。そのちょうど中央部にあって交通の要衝でもある諫早湾が「エコツーリズムのメッカ」となれば、九州観光に新たな回遊性と求心性が生まれ、全体としての浮揚が期待される。

 その地域経済効果の大きさを思うとき、逆に、この中北部九州のど真ん中が「日本最大のどぶ池」と化して、九州経済全体に暗い影を落としている現状は、自殺行為ともいうべきである。


図1 中央部九州の各観光地の中央結節点に位置する諫早湾として
   有明海の大資源を生かし、新たな環境学習型回遊観光ルートを
   創設することこそ九州地域経済浮揚・活性化の道


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