水質データの基礎知識
水質データの検査項目とその値の見方について解説してあります。
当ホームページ掲載の「諫早湾締切内部の水質状況」などを見る際に参照してください。
(別ウィンドウに表示して、対比させながら見ていただくと、分かりやすいと思います)
- pH(水素イオン濃度)
- pHは、水の酸性、塩基性を示す重要な指数であり、モル濃度で表した水素イオン濃度の逆数の常用対数です。
水質環境基準 |
6.5〜8.5 |
現行排水基準 |
5.8〜8.6 |
水道水の水質基準 |
5.8〜8.6 |
快適水質pH値 |
7.5程度 |
- DO(溶存酸素量)
- DOは、水の中に溶けている酸素の量で多いほどよい。
概略の目安
2mg/l以下 |
ひどい悪臭が出て、魚がすめなくなります。 |
- COD(化学的酸素消費量)
- CODは、Chemical Oxygen Demandの略で、試料水中に被酸化性物質がどのくらいあるかを示す物である。被酸化性物質としては、特殊な水を除けば、有機物が主要な物であって、CODを有機物量の相対的な比較の尺度と考えても差し支えない場合が多い。
- 生活雑排水には、COD値を大きくする有機物が多く含まれている。一般にCOD値の小さいときは懸濁物には関係があまり無い場合が多い。しかし懸濁物の多い水は一般にCODが大きく、懸濁物に由来する溶存態有機物も多いためと考えられる。
概略の目安
0mg/l |
汚染のないきれいな水 |
1mg/l以下 |
きれいな渓流 ヤマメ、イワナがすむ。 |
1mg/l〜2mg/l |
雨水 |
2mg/l〜5mg/l |
少し汚染されている。ただし、生活廃水や工場排水の流入がない 河川でも、落葉や水草の分解で1〜5mg/l程度になることもある。 |
2mg/l〜10mg/l |
河川の下流の水 |
3mg/l以下 |
サケ、アユがすめる。 |
5mg/l以下 |
比較的汚染が強いコイ、フナがすめる。 |
10mg/l以上 |
下水、汚水 |
1mg/l〜3mg/l |
水質環境基準 |
160mg/l以下 |
現行排水基準 |
- Cl−(塩化物イオン)
- 一般に、人家の密集しているところでの塩化物イオンの分布はおおむね汚染の程度に支配される。しかし、海水の影響を受けるので下流域に対しては汚染の指標とは一概には言えない。
概略の目安
1mg/l〜2mg/l |
雨水 |
2mg/l〜4mg/l |
河川の上流水 |
10mg/l〜50mg/l |
河川の下流水 |
50mg/l〜18000mg/l |
海水 |
200mg/l以下 |
水道水が有すべき性状 |
- SS(浮遊物質量)
- SSは、Suspended Solidの略で、懸濁物質・浮遊物質・浮遊懸濁物質・浮遊状物質・浮遊固形物ともいわれる。浮遊物質量とは水中に懸濁している物質を言う。これは粘土類に由来する微粒子が主体であるが、家庭下水、産業排水等に由来する有機物質などが含まれることもある。数値が高いほど、水中照度の減衰による水中光合成の阻害要因となり、また魚のえらをつまらせて大量死させ、また珊瑚を死滅させる。
概略の目安
水質環境基準 |
類型毎に設定
(水道利水の類型では河川25mg/l以下、湖沼5mg/l以下) |
現行排水基準 |
200mg/l(日間平均150mg/l) |
- NH4+−N(アンモニア性窒素)
- 水中に存在するアンモニア性窒素の多くは、下水、屎尿、工場排水などに由来する蛋白質や有機窒素化合物が腐敗、分解する過程で発生した物である。
- 酸素の多いきれいな水には硝酸性窒素の割合が多く、排水などの流入した汚れた水には、有機態窒素やアンモニア性窒素が多い。
概略の目安
0.05mg/l |
河川の上流水・湧水 |
0.10mg/l〜0.40mg/l |
雨水 |
0.40mg/l〜5.00mg/l |
河川の下流水 |
5.00mg/l |
下水 |
- NO2−−N(亜硝酸性窒素)
- 亜硝酸性窒素とは亜硝酸塩をその窒素量をもって表したものです。 水中の亜硝酸性窒素は主に各種工場排水、肥料、し尿、下水などの混入によるアンモニア性窒素の酸化過程で生ずるものであるから、水の汚染を推定する重要な一指標となる。
概略の目安
0.006mg/l〜0.10mg/l |
河川の上流水 |
0.02mg/l 以下 |
きれいな水 |
0.02mg/l〜0.10mg/l |
少し汚染している |
0.10mg/l〜0.20mg/l |
汚染している |
0.20mg/l〜0.50mg/l |
汚染が激しい |
0.30mg/l以上 |
河川の下流水 |
0.50mg/l以上 |
汚水 |
- NO3−−N(硝酸性窒素)
- 硝酸性窒素は、アンモニウムイオン・亜硝酸イオンの酸化により生成し、酸素の多い水中に安定に存在する。きれいな上流の河川水・地下水・湧水中の窒素化合物は主に硝酸性窒素の形で存在している。水道水の水質基準では硝酸・亜硝酸性窒素の合計が10mg/l以下であることが定められている。
概略の目安
0.2mg/l〜0.4mg/l |
雨水 |
0.2mg/l〜1.0mg/l |
河川の上流水 |
2.0mg/l〜6.0mg/l |
河川の下流水 |
2.0mg/l〜10.0mg/l |
湧水・地下水 |
- T−N(全窒素)
- T−Nは、Total Nitrogenの略で、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素と溶存性窒素と懸濁性有機性窒素を合計した量のことをいう。
- PO43−−P(リン酸性リン)
- リン酸性リンとはリン酸の形をしたリン分である。
- リン酸イオンは肥料や合成洗剤、食品など広範囲に含まれているイオンで、この数値が高いほど富栄養化していて、赤潮などの原因となるとされている。
概略の目安
0.0163mg/l以下 |
雨水 |
0.0163mg/l〜0.0326mg/l |
河川の上流水 |
0.0326mg/l〜0.3260mg/l |
河川の下流水 |
0.0652mg/l以下 |
きれいな水 |
0.0652mg/l〜0.3260mg/l |
汚染の可能性がある |
0.3260mg/l〜0.6520mg/l |
少し汚染している |
0.6520mg/l〜1.6300mg/l |
汚染している |
1.6300mg/l以上 |
汚染がひどい |
- T−P(全リン)
- T−Pは、Total Phosphorusの略で、リン酸イオンと有機リンをあわせたものの数値である。
- クロロフィルa
- クロロフィルaは、植物に含まれている葉緑素の一種であり、水中のクロロフィルaを測定することにより、植物プランクトン(藻類)の発生状況を知ることができる。
参考資料
本のタイトル名 |
著者名 |
出版社名 |
水の分析(第3版) |
日本分析化学会北海道支部 |
化学同人 |
長良川河口堰 |
長良川河口ぜきに反対する市民の会 |
技術と人間 |
検証・長良川情報戦争 |
久野万太郎 |
同友館 |
岐阜県環境白書 |
岐阜県 |
|
環境問題情報事典 |
大高利夫 |
日外アソシエーツ |
恐るべき水汚染 |
小林勇 |
合同出版 |
調べる・身近な水 |
小倉紀雄 |
講談社 |
だれでもできるやさしい水のしらべかた |
河辺昌子 |
合同出版 |
水質および水質実験 |
大野俊夫・大野庸子 |
コロナ社 |
水環境調査の基礎 |
新井正 |
古今書院 |
みんなの水の健康診断 |
佐藤彰祝・八藤眞 |
日本地域社会研究所 |
水質調査法 |
半谷高久・小倉紀雄 |
丸善 |
*この解説は、鳥谷明弘さん(トリトンのホームページ)と傳谷卓也さんによってまとめていただいたものです。
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