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中・長期開門調査検討会議に要請書を送付 有明海の再生の第一歩となる中長期開門調査の実施を! よみがえれ!有明海訴訟を支援する会、有明海漁民・市民ネットワーク、諫早干潟緊急救済本部などで構成する「有明再生全国ネット」では、2003年11月25日に、中・長期開門調査検討会議の各委員に対して、調査の実施を求める下記の要請書を送付しました。 諫早湾潮受け堤防の排水門を開放し、海水を導入して行う「開門調査」は、有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(ノリ第三者委員会)が、諫早湾干拓事業と有明海の環境悪化の関係を検証するために農水省に提言したものです。2003年5月には1か月弱の短期間の開門による調査が実施されました。 中・長期開門調査検討会議 2003年11月25日 要 請 書 ◆有明再生全国ネット 私たちは貴委員会に対し、下記の5項目を要請いたします。よろしくお願い申し上げます。 開門調査は、ノリ第三者委員会によって、「諫早湾干拓事業が有明海の環境に影響を及ぼしていると指摘されている事項に関して、その適否を検証するために」提案されたものです。すでに、短期開門調査は実施されていますので、その成果も踏まえて中・長期開門調査によって、何をどのように検証するのかを検討するのが中・長期開門調査検討会議に課せられた任務と理解しています。したがって、中・長期開門調査検討会議に設置された専門委員会において、開門調査の実施を否定するかのごとき議論が垣間見られることは由々しきことです。専門委では、実施を前提として、その際に期待できる成果や懸念される影響への具体的な対策などを、専門的立場から議論することこそが求められているはずです。 専門委で開門調査否定論者は、流動・水質・底泥輸送の各数値モデルの解析で水門開放以上のことが分かるはずだとの認識を根拠とされていますが、はたしてそうでしょうか。そもそも漁業者による等身大の体験を、900メートルのメッシュで再現できると想定すること自体が不遜です。ましてや諫早湾内の貧酸素水塊の発生という最も基本的な事象さえ捉えられない欠陥モデルで、有明海の変化の実態を掴むことなど到底不可能ではないでしょうか。 別紙(「潮受堤防の水門開放が諫早湾の潮汐に及ぼす効果に関する予備的考察」)のように宇野木元教授の試算によれば、水門を開放すれば潮汐の約半分が戻ることが期待できます。有明海全域に調査地点を張り巡らせて、流動の変化を確認してください。海水導入をわずか20センチ幅にとどめた短期開門調査時でさえ、熊本県立大の堤裕昭教授(http://www.ariakekai.info/)は有明海に潮目が出来るのを確認し、また排水門から遠く離れた場所に居る漁業者も「いま水門が開いている」と判断できると言います。農水省は短期開門時に有明海にほとんど調査ポイントを設定していないにもかかわらず、数値モデルで「有明海への影響はなかった」などと結論するのは本末転倒です。堤防撤去ではなく、たとえ水門開放という限定的な条件であっても、開門前後のデータの比較で有意差があれば、潮受堤防の環境への影響を認定することは十二分に可能なのです。 ノリ第三者委が提言した中・長期開門調査の目的は、干潟を再生してその浄化能力などの諸機能を調査することにありました。ところが農水省は、その干潟再生面積を大幅に減少させるような前面堤防工事を推し進め、更には調整池内に今年度中にも潜堤と称する施設を建設しようとしています。この潜堤は調整池内の淀みを助長して更なる環境悪化要因になるだけでなく、干潟再生の大きな障害となります。これら工事を直ちに止めるよう農水省に進言することも、貴委員会に課せられた重要な任務ではないのでしょうか。 農水省は、ノリ第三者委での開門条件の検討に際しても、そして又今回も、なぜか防災の専門家から意見を聴取しようとせず、自らのデータと独自の判断のみを委員に押し付けて、「生命と財産」 を盾に恫喝的に開門を阻止しようと躍起になっています。97年4月の締め切り当時、彼らは「水門は絶対に開けられない」と主張していましたが、実際には短期開門調査で開門が実現できたのです。農水省が主張する開門条件は、そもそも無意味で難癖以外の何物でもないものや、わずかの処置を施すだけでクリアできるものもありますから、各項目ごとに綿密な検討が必要です。ところが、こうした検討を行うことが期待された専門委に防災などの専門家が一人も任命されていないことは不思議なことです。肝心な点の判断は、農水省の事務方主導で進めようとしているのではないのでしょうか。 どうか万難を排して、中・長期開門調査を実施されるよう重ねて強く要請する次第です。 以上
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