諫早湾の開門調査に関する緊急声明
4月15日夜に行われた武部農水大臣と長崎県知事らの会談で、長崎県知事は短期開門調査の実施を容認し、調査の実施が決定しました。中・長期の開門調査については結論を先送りしましたが、2006年の事業完了を確約したことから、事実上、短期調査のみの方針を固めたことになります。
諫早干潟緊急救済本部、同東京事務所、有明海漁民・市民ネットワークでは、短期開門調査の決定を受け、短期調査だけでは意味がないとする以下の緊急声明を発表しました。
諫早干潟緊急救済本部 代表 山下八千代
諫早干潟緊急救済東京事務所 代表 陣内 隆之
有明海漁民・市民ネットワーク 代表 森 文義
- 諫早湾干拓地における開門調査は、いわゆるノリ第三者委員会が指摘したとおり、長期にわたり、大規模な海水交換を実現するかたちで実施すべきである。
短期開門調査は、将来、本格的な開門調査を実施するための前段階としてのみ、その意味がある。短期開門調査を1回だけ行うのは、ほとんど意味がない。
- 昨年12月、ノリ第三者委員会は、
「諫早湾干拓事業は、重要な環境要因である流動及び負荷を変化させ、諫早湾
のみならず、有明海全体の環境に影響を与えていることが想定される。」
と指摘した。これは、諫早湾干拓事業の環境アセスメントに誤りがあったことを示唆するものであり、農水省は、諫早湾干拓事業の工事を直ちに中断し、潮受堤防の撤去を含めた事業の再見直しを図るべきである。
- 有明海の漁業者や、諫早湾周辺住民が望んでいるのは、有明海の再生と、諫早湾周辺での防災機能強化の両立であり、それこそが本当の問題解決である。
この意味では、漁業者と周辺住民、さらに、この問題を憂う全国の市民に、対立の要素はない。
「事業推進と開門調査は切り離して考える」という農水省の無責任な姿勢こそが、多くの関係者を、不毛な混乱に巻き込んできた。
- 農水省は、短期の開門調査だけを実施し、事業縮小案によって諫早湾干拓事業を推進すること目論んでいる様だが、その様な小手先の政治決着では、本質的には、何の解決にもならない。
有明海の再生と、地域の防災機能強化の両立という本質的な問題解決に向けて、農水省・関係自治体・国会議員・漁連などが全力で取り組むことを強く期待する。
TOP PAGE | INFORMATION | REPORT | LIBRARY | LINK |