諫早干潟緊急救済本部
諫早干潟緊急救済東京事務所 御中
「潮受堤防排水門開放に関する公開質問状」について(回答)
平成13年2月26日付けで質問のありました標記の件につきましては、別紙のとおり回答しますのでよろしくお願いします。
「潮受堤防排水門開放に関する公開質問状」についての回答
1.排水門流出入時の流速について
潮受堤防の南北にある合わせて250mの排水門から、潮汐に合わせ海水が出入りし、調整池側と海側との水位差により、早い流れが発生することは、学識経験者からも指摘されているところです。
また、潮受堤防の排水門は海側から調整池側への流入することを想定しておらず、排水門を開けて海水を流入させた場合には、技術的な課題があると聞いております。
2.防災について
潮受堤防による締め切り以前は、本明川河口から約5km上流に位置する公園堰付近まで潮汐の影響を受けていました。
諌早湾干拓事業の防災効果は、潮受堤防を設け調整池水位が低く管理されることにより、高潮や潮汐の直接的な影響を受けることなく、河川の通水や背後地からの排水が可能となることによって発揮されるものです。
さらに、潮汐によりガタ土が運ばれ、本明川や半造川等に堆積し、排水不良を引き起こしてきましたが、このようなガタ土の堆積も無くなりました。昨年から、国土交通省により本明川及び半造川の掘削が行われておりますが、潮汐によるガタ土の堆積がなくなったことにより、河道やミオ筋が確保されています。
諫早市としては、諌早湾干拓事業による防災効果、本明川ダムの建設促進、さらに、排水ポンプなどによる内水対策により、今後とも防災対策を進めていきたいと考えています。
3.湛水対策について
潮受堤防の排水門は、洪水時や常時排水時に、調整池水位より外潮位が高い時には水門を閉め切って洪水等を調整池に一時貯留し、外潮位が調整池水位より低くなった時には水門を開き、貯留した水を外海へ排水することになっています。
調整地の背後には標高Oメートル前後の低平地が広がっていますが、調整池水位が低く保たれることにより、潮汐の直接的な影響を受けず、自然排水による常時排水が可能となっています。
一方、潮受堤防の排水門を常時開放し、海水を流入させることは、潮汐との関係で一度上昇した調整池の水位を急に低下させることはできず、急に大雨が降ると洪水調整容量が不足することから、防災上非常に危険です。
また・排水門を開けて海水を流入させた場合、湾奥部でのガタ土の堆積等は避けられず、再び、ガタ土の堆積による排水不良が引き起こされるとともに、度重なるガタ土の除去が必要となります。
これらのことから、諫早湾干拓事業の防災機能が適切に発揮されるには、海水を調整池に流入させることなく、調整池の水位は標高マイナス1メートルとなるよう管理して頂くことが必要と考えています。