ようこそイサハヤへ! 干潟訪問記

森山 紀美子(東京事務所ボランティア)

 無数のカニたちの穴。
 春の静寂の中に低く、けれどはっきりと聞こえるムツゴロウたちの、生きている音。
  もっと生きたい!!
もっと生きるぞ!!
そう訴えているのであろう生命の音。
 3月18日に私の訪ねた諌早干潟。
 海水を奪われ、むき出しになり、ひび割れ、貝の屍の累々と続く干潟。
 この暴挙を、我々国民の税金で、我々国民の承認もなく、民主主義の名の下に、民主主義を踏みにじって行われていることに、激しい怒りと哀しみが胸を焦がす。
 子供たちの未来に借金・コンクリート漬けの醜い国土だけを残して、それで恥じることはないのだろうか。
 黄色い旗がさみしそうにはためいていた。
 菜の花が黄色く3列に並んで咲いていた。推進派の人達が、干潟の塩分が抜けた証拠として種をまいたのだとか…。菜の花は強いから、どこにでも咲くと思うんだけど。
 いつの間に人間は、地球の生態系から超越した存在になったのだろうか…。
 地球は果たして人間だけのものなのか。
 諌早干潟は日本だけのものだろうか。
 この貝たちの屍を見て、人々は何の悲しみも後悔も感じないのだろうか。
 どうして日本人はこの残酷と税金のムダ遣いを怒らないのだろうか。
 どうして役人たちは己を恥じないのだろうか。
 でも黄色い旗はまだはためいている。
 カニたちは、ムツゴロウたちはまだ生きている。
 少しだけど鳥たちも来ている。
 なめてみた調整池の水はまだショッパイ。
 水門さえ開けば、元の豊かさが戻ってくる。
 堤防の外に残った干潟につくカキをタップリ食べて、干潟の豊かさに思いをはせ、そして干潟に別れを告げた。 


イサハヤ干潟通信第8号より転載*


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