報道ダイジェスト 2000年2月


●2月9日 毎日新聞
 有明海富栄養化防止で環境基準 中央環境審答申
●2月9日 西日本新聞
 有明海の窒素、リン環境基準 5水域に分け目標値 中央環境審が答申

 中央環境審議会は2月8日、有明海の富栄養化・水質汚濁防止のため、窒素とリンの環境基準を設定するよう清水嘉与子環境庁長官に答申した。環境庁は答申を受け、1999年度中に基準を告示する。
 基準は佐賀、福岡、熊本の3県の沿岸域は水1リットル当たり全窒素0.6ミリグラム以下、全リン同0.05ミリグラム以下、長崎県の有明海湾奥部は全窒素同0.3ミリグラム以下、全リン同0.03ミリグラム以下。ただし、諫早湾の干拓事業区域は対象から除外されている。


●2月15日 西日本新聞
 環境基本計画実施へ 県が推進本部会議設置

 長崎県は14日、県環境基本計画を推進する組織「21県環境づくり推進本部会議」を設置した。「海・山・人・未来につながる環境にやさしい長崎県」を環境像に設定し、資源循環型社会への転換を目指して、循環、共生、参加、地球環境保全の四つの基本目標ごとに環境保全への施策を体系化した。
 諫早湾では水環境調査などを進めながら干拓調整池の自然干陸地などの環境資源や環境教育の場としての活用など環境対策事業を推進する。


●2月15日 テレビ長崎
●2月16日 長崎新聞、朝日新聞
 長崎県の2000年度一般会計当初予算案発表

 長崎県は今年最初の県議会に上程する8557億円の一般会計当初予算案を発表。諫早湾干拓事業関連では、潮受け堤防の管理用道路を一般向けに利用するための整備費に2億円、国から依頼される潮受け堤防の維持管理費に2億円、干拓地入植者の営農技術指導指針策定に向けた営農対策試験費として5500万円が計上された。
 一方で県の実質的な借金にあたる地方債の残高は平成12年度末で1兆395億円が見込まれいる。


●2月17日 長崎新聞
 排水データ公表を 諫干の環境モニタリング 調査委が求める
●2月17日 朝日新聞
 赤潮原因究明 国は充実せず 諫早湾干拓環境調査委で報告
●2月17日 西日本新聞
 シギ・チドリ飛来過去最低 昨年諫早湾
 長崎県/諫早湾干拓環境調査委 新年度計画を了承

 諫早湾干拓事業に伴って農水省が行っている環境モニタリング調査のあり方を検討する、長崎県諫早湾干拓地域環境調査委員会が16日に開催された。
 会合では干拓事務所や県が本年度実施した環境モニタリングの結果を公表。堤防内にある調整池の水質汚濁が改善されていないこと、有明海全体のシギ・チドリ類の個体数は、従来は2〜3000羽(秋季)で推移していが、99年秋は約1290羽で、調査開始(1986年)以来最低になったことなどが報告された。
 昨夏の前回委員会では、赤潮の原因を調べるために植物プランクトンと水質の調査地点、回数を増やすよう求める意見が出たが、干拓事務所は赤潮発生時以外の平常時の調査を充実させる考えはないことを明らかにした。調整池からの排水の回数、日時のデータの公表すべきとの意見に対しては、干拓事務所は「報告する方向で検討する」と答えた。


●2月18日 読売新聞
 諌早干拓 2000年度にアセス検証 環境庁意見書受け農政局が方針/長崎

 諌早湾干拓事業について、九州農政局は事業開始前に行われたアセスメントの各項目についての検証を、2000年度中に実施することを明らかにした。事業開始当時、環境庁長官が当初計画での工期(86〜2000年)の途中でアセスの検証するよう求めていたが、農水省は同年まで検証していなかった。諌早湾干拓事務所は「アセスで出した予測値と比べるには、完了時に近づいた条件下で検証すべき。これまでは工事の影響が残る時期で正確な判断ができず、検証しても意味がなかった」と説明している。


●2月20日 共同通信
 カキ食べて諌早湾で絶叫

 カキを腹いっぱい食べた後、諫早湾を背に言いたいことを何でも叫ぼうと「第一回かき喰い絶叫大会」が20日、長崎県高来町で開かれた。カキは佐賀県の有明海産と長崎県佐世保市の九十九島産。諫早湾は干拓事業のため閉め切られた後、特産のカキが採れなくなり、カキを焼いて食べさせる「カキ小屋」も激減。長崎県高来町商工会青年部が「海はなくなったが冬の風物詩を残したい」と、大分県湯布院町の「牛喰い絶叫大会」をモデルに企画した。


●2月24日 共同通信
 諫早湾の海底生物が6割減 閉め切り2年、長崎大調査
●2月24日 西日本新聞
 諫早湾 潮受け堤防外でも異変 海底生物6割減 長崎大調査
 酸素量も低下 漁業に影響懸念
●2月24日 佐賀新聞
 諫早湾の海底生物6割減
●3月1日 長崎新聞
 堤防外側海域の底生動物6割減 諌早湾閉め切りから2年

 長崎県・諫早湾の外側(有明海側)に当たる湾口部で、ゴカイやヨコエビなど海底の生物が、1997年の閉め切りから2年間で6割も減ったことが、長崎大の東幹夫教授(水生生物学)らの23日までの調査で分かった。さらに、調査地点のうち閉め切り堤防建設用に砂利を採取した付近の海底で、水中の酸素量が少ないことも判明した。
 東教授は「閉め切りで潮流が変わったり弱くなったりした結果、海底の生物が減少した可能性が高い」と分析している。一方、諫早湾干拓事務所の及川和彦次長は「事業の影響かどうか分からない。2000年度に実施するアセスメントの検証を待ちたい」と話している。         
 海底生物は魚介類のえさになるため、漁業被害や生態系への悪影響が長期化する恐れがある。農水省の環境影響評価は周辺海域も含め「影響は許容し得るもの」と予測しており、その妥当性も問われそうだ。


●2月21日 佐賀新聞
 有明海、国際的重要性を報告

 WWFジャパンによる「有明海の干潟とシギ・チドリ類の保全と環境教育を考えるワークショップ」が19、20日、佐賀市で開かれた。「東アジア―オーストラリア地域シギ・チドリ類湿地ネットワーク」への有明海干潟の参加や保全策について、活発に意見が交わされた。


●2月25日 西日本新聞
 有明海異常潮位 佐賀産ノリ生産1割減 最大51センチ高く 赤腐れ病拡大

 「生産日本一」を誇る佐賀県産ノリの生産枚数、販売額が昨シーズンに比べ1割前後ダウンする見通しであることが25日、分かった。有明海の平均潮位が平年比で10センチ以上も高い月が4カ月続き、赤腐れ病が広がったのが最大の原因。同県や同県有明海漁連は「有明海ノリ養殖漁場潮汐研究会」を発足させ、異変への対応に乗り出した。
 異常潮位の原因について、諫早湾閉め切りの影響を指摘する声もあるが、気象庁海洋課や佐賀県有明水産振興センターは「地球温暖化や太平洋側の黒潮の蛇行による影響などさまざまな要因が考えられるが、分からない」と話している。


●2月26日 佐賀新聞
 有明海の資源回復へ研究会

 有明海のタイラギやアゲマキの不漁を受け、県と県有明海漁連は資源回復の方策を探る「有明海重要貝類資源状況研究会」を25日発足させた。関係機関が一体となって資源状況を把握し、原因究明につなげたい考えで、この日の初会合では現状や調査計画の報告があった。
 それによると、漁業者が多い大浦漁協(太良町)のタイラギ水揚げ量は、96年度318トンあったのが年々激減し、本年度はほとんどゼロ。一方、アゲマキも88年度に776トンあったのが、92年度以降、ほぼゼロと極端な不漁となっている。


●2月26日 長崎新聞
 全国からの一言集「生きろ 諌早湾」完成
●2月26日 西日本新聞
 1132人の「生きろ 諌早湾」 市民団体が自費出版へ
 写真・メッセージ収録 作家・倉本聰氏も参加

 全国から寄せられた諌早湾の干潟再生への思いや、同湾の写真を収録した一言集「生きろ 諌早湾」が完成した。この本は、諌早湾干拓事業を考える市民グループ「諌早湾一万人の思い」実行委員会が作製。定価は1500円(税込み、送料別)。
 全国1132人の声や、長崎市の黒崎晴生さんら同湾を撮影し続けた5人の写真作品も掲載。作家の村上龍、倉本聰、灰谷健次郎ら各氏のメッセージをはじめ、詩人の谷川俊太郎氏の詩、哲学者の梅原猛氏の色紙、映画監督の山田洋二氏の一言も。問い合わせは団体諌早事務局:0957(22)1582へ。


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