諫早湾が閉め切られ、1月8日で1000日目!
■工事完成は2006年!?
1997年4月14日、国内外の大きな批判の内に293枚のギロチンによって諫早湾が閉め切られて、2000年1月8日でちょうど1000日目を迎えました。
諌早湾干拓事業は、2001年3月末に完成すると言われていましたが、昨年9月に長崎県知事は完成が6年遅れると公式に発表し、農水省もこれを認めました。1万7600メートルの内部堤防の工事が、地盤が悪いため大幅に遅れるというのがその理由です。それに伴い工事予算も120億円増加し2490億円まで膨らみました。その結果、事業の効果を工事にかかる費用で割った投資効果は、農水省の計算でも1.01倍と、当初計算した1.03倍に比べて大幅に低下したのです。
■防災効果はあったのか?
奇しくも長崎大水害が発生して10年目の昨年7月23日、諌早市に集中豪雨が襲い、市は住民の9割以上に避難勧告を出しました、市内中心部の商店街も冠水しました。農水省や長崎県が言っていた「閉め切りさえすれば諫早大水害と伊勢湾台風が同時に襲っても、住民は枕を高くして寝られる」という予測は、見事に外れてしまったのです。
■拡大する漁業被害
諫早湾閉め切りによる漁業被害は、当初の予想を覆す、恐るべきものになりつつあります。湾内のタイラギ漁業は7年連続休業に追い込まれ、命綱のアサリ養殖も大被害が続いています。島原半島ではワカメ養殖が壊滅的な打撃を受けました。海岸の海藻類も全滅状態です。アナゴ、ワタリガニなどの海底に住む生物もほとんど壊滅していす。これまで見られなかった赤潮も佐賀県にまで及ぶようになりました。
有明海奥部でも、満潮時の潮位が約50センチも上昇、高潮の恐れが出て来ました。また、潮流も変化し、定置網やノリ養殖にも大きな被害が及んでいます。有明海全域のタイラギも全滅状態です。有明海漁民は「一日も早く水門を開放して欲しい」と怒りを強めています。
■生き続ける生き物たち
閉め切られた内側の調整池内では、いまでもムツゴロウ、シオマネキ、アリ
アケガニ、ヤマトオサガニ、シマヘナタリ、アズキカワザンショウなどが強かに生き残っています。潮さえ入れば、諫早湾干潟生態系は直ちに回復に向かいます。
■一日も早い水門開放を!
今年は「時のアセスメント」で干拓事業の見直しが始まります。まず、水門の開放です。そして事業の大幅な見直しが必要です。諫早湾干拓事業は、21世紀の日本の環境問題の行方を占う重要な問題です。諫早湾問題は今年が最大の山場になります。
みなさん方のこれまで以上のご協力とご支援を心からお願い致します。
2000年1月8日
諫早干潟緊急救済本部 代表 山下弘文
諫早干潟緊急救済東京事務所
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