1999年7月23日の諫早水害に関する諌早市議会での質疑(9月定例市議会)

*市議会だよりNo.84(10月20日発行)より抜粋し編集しました。


山口喜久雄 議員

七・二三の大雨に対する市の対応について並びに今後の対策について

  • 議員 通信手段がパンク状態になったが、防災無線の導入等非常時の通信手段を考えて欲しい。
  • 市長 防災無線を含む通信手段について、それぞれの用途ごとに整理を行い、支障のないようにしたい。FM放送の施設の利用については、現在民間主導で準備作業が進められている状況で、事業開始となれば、市民への情報伝達媒体の一つとして利活用を図りたい。市の出先機関への連絡体制は、指定の避難場所等の関係もあり、情報収集、情報伝達システムのあり方等の中で総合的に研究したい。
  • 議員 本明川、半造川も潟土の浚渫を早急にできないか。
  • 市長 半造川については、現在河川改修事業を最優先して実施されている。本明川の浚渫を含め、今後建設省に強く要望していきたい。
  • 議員 排水機場のポンプの作動、停止等は、人の手で行われているが、遠隔操作によってできないか。
  • 市長 操作する方々の安全を確保するためには、集中制御による遠隔操作も一つの方法ではないかと思うので、今後の検討課題としたい


石崎富弥 議員

七月二十三日の集中豪雨に対する対策本部設置について

  • 議員 対策本部における対応は万全であったと認識しているか。
  • 市長 諌早市地域防災計画に基づき災害警戒本部を設置した。今回の大雨は短時間に集中した記録的な豪雨であり、今後は情報収集能力の向上を図り、避難勧告等、より適正な判断ができるよう研究し対処していきたい。配備体制は事務掌握にそって、できる限りの対応をやったと思っている。非常時における連絡、情報収集体制の整備が今後の大きな課題であると思う。
  • 議員 今回の災害状態に鑑み、市の予防的整備、防災体制について。
  • 市長 今後、治水対策プロジェクトチームをつくり調査研究したい。
  • 土木部長 今回問題が生じた排水機場やポンプ等では、除じん機の設置、自動再起動、設置場所の嵩上げ等の準備をしている。水防義務については、今後地域の人たちにPRしながら周知徹底していきたい。


本明川ダムの進捗状況ついて

  • 議員 現状までの過程および今後の課題と早期着工に向けての行政の体制について。
  • 市長 洪水調節を主目的として河川維持用水や農業用水の確保、水道用水の確保を目的とする多目的ダムとして国の直轄事業で建設計画が進められている。ダム建設の根幹となるダム容量、高さ等の基本計画素案までには至っておらず、現状での完成目標の設定は難しいと聞いており、七月二十三日の水害に鑑み、さらに強く要望していきたい。建設事業の予算は、本明川は多目的ダムを予定しており、国、県と利水者である企業団が建設費を負担することになる。


早田隆一 議員

平成十一年七月二十三日災害について

  • 議員 土木施設災害復旧事業のうち、小規模災害の復旧事業はどのように進めていくのか。
  • 市長 公共土木施設災害復旧事業として国に申請するよう努力しているが、災害の規模により、採択基準の工事費六十万円以上に該当しない小規模の災害復旧事業は、市の単独事業として対応したい。
  • 議員 市内各所に点在している用排水路は、普段はかんがい用として利用しているが、洪水が発生した時は、排水路として治水対策上大きな役目を果たしている。これを高齢化した農家の人たちが管理しているので、洪水時に手動による途中での放水口の堰板の開閉を緊急時に素早く対応できるよう改善してほしい。
  • 土木部長 用排水路を管理する農家の高齢者が、洪水時に作業をするのは非常に危険であり、農林水産部と協議しながら、治水対策上必要な箇所については土木部で検討していきたい。


城見(一)地区急傾斜地崩壊対策事業について

  • 議員 城見(一)地区は低地帯で多くの浸水被害を受けたところである。平成十年二月十三日付けで城見町町内会長ほか十一名で「城見(一)地区急傾斜地崩壊対策事業要望書」を提出しているがその後の経過について。
  • 市長 城見町の慶巌寺下のがけについても、県の方で採択できないかどうか、現在折衝を続けている状況である。


岩永賢一 議員

国営諌早湾干拓事業について

  • 議員 七月二十三日の集中豪雨の際、内水対策にどのような効果があったのか。また、なぜ高天町付近だけ水の引きが悪かったのか。
  • 市長 河川の水位が周辺の土地よりも高くなり、水はけが悪くなる状態は、潮受け堤防がある場合でもない場合でもあり得る。今回は潮受け堤防の排水門を開けていた時も。上流からの流れ込みが多く水位は上がった。内水対策は、河川改修、ダムの問題などがあり総合的に検討しなければならない。一つだけをしたことによってオールマイティにはならない。
  • 農林水産部長 調整池の時刻毎の水位で、二十二時にはゼロメートルに上昇した。五箇所の排水樋門による自然排水と自然排水困難な時には長田第二排水機場によって排水を補足し、水田冠水が二十四時間を超えない基準で設置されている。湛水の排除までに約十二時間かかったと観測している。


嘉藤 昇 議員

七月二十三日集中豪雨災害の教訓と対策について

  • 議員 栗両町、新道町、小川町の河川に、強制排水ポンプを早急に設置すべきと思うがどうか。
  • 土木部長 強制排水ポンプの設置の必要性を認めており、今後調査し結論を出したい。
  • 議員 半造川の拡張工事と半造川、小ヶ倉川の浚渫が必要と思うかどうか。
  • 土木部長 半造川上流の埋津川、小ヶ倉川については、県に浚渫をお願いしている。
  • 議員 国道57号諌早バイパスの暗渠に流出している、栗両町の長谷川と助の川の排水路の改修工事をすべきだと思うがどうか。
  • 土木部長 十分に調査し、建設省へもお願いしていきたい。
  • 議員 諌早湾干拓調整池の海抜マイナス一メートルを二メートルにできないか。
  • 市長 調整池の管理水位は、排水門操作により外海への自然排水が可能であることなどを基本要件として、小潮の平均干潮位程度であるマイナス一メートルとされている。これをもとに各種の施設設計がされており、変更は難しいと聞いている。


古川利光 議員

七月二十三日の集中豪雨に伴う諸問題

  • 議員 福田町に建設中の雨水排水施設の放流先は、中山西川と聞くが本当か。
  • 市長 中山雨水ポンプ場の放流先は、現計画では中山西川となっているが、七月二十三日の豪雨による浸水状況などを考慮すると、現計画のまま雨水を強制排水しても、豪雨により中山西川の排水樋門が閉鎖された場合、堤防から越流する恐れがある。この際、事業費の増、工期の延長があっても、本明川へ直接放流することが最善と考え、現在建設省、県と協議を進めている。
  • 議員 現在工事中の市道中山線の完成時期はいつか。
  • 市長 今年度中に完成する予定である。
  • 議員 市道井手平線の改修はどうなっているのか。
  • 土木部長 今年度中に一部の改修を実施したい。
  • 議員 土のうを積んだ場合、その後片付けが高齢者や一人暮しの人には困難だが、対応をどうするか。
  • 土木部長 連絡があれば土木部の方で対応したい。


藤田敏夫 議員

平成十一年七月二十三日の集中豪雨における諌早市地域防災計画書の「避難指示等の伝達方法」の実施とその結果について

  • 議員 今回の「避難勧告」が聴覚障害者の皆さんに対し行われたかを問う。
  • 総務部長 障害者への伝達については今後の研究課題としたい。
  • 議員 地域防災計画書中「避難指示等の伝達方法」の関係者とは誰か。災害時における聴覚障害者のための方策を問う。
  • 総務部長 関係者とは、消防団員、自主防災組織を想定している。手話通訳が出来る方々の育成は、日常的に必要なことであり、災害時にどのような体制が取れるか研究していきたい。



片山正純 議員

ひと創り、まち創りの視点から、去る七月二十三日の集中豪雨から学ぶことが多かったと思うが、それを今後、行政として、どう展開していくつもりか。

  • 議員 昭和三十二年の水害は小学校五年生のときに経験したが、それ以来あんまり恐ろしい水害はなかった。諌早市の大半の人たちが、諌早大水害を川端、あるいは山の谷合いで経験した人以外を除いては、水の恐ろしさをわかっていないのではないだろうか。そういう意味では、今度の水害は非常にいい教訓になったと思う。
  • 市長 今回の災害は、昭和五十七年の長崎大水害以来の十数年ぶりの集中豪雨によるもので、油断をしていたわけではないが、甘かった部分が多少なりともあったのではないかと思っている。集中豪雨は自然現象なので防ぎようがないが、災害は未然に防ぐことは可能である。今回災害が発生したことはまことに遺憾であった。今後は、基本計画にもあるように、より一層災害に強いまちづくりを推進し、市民と行政が一体となった地域防災体制の確立を図る必要性を痛感している。災害復旧には、多くの皆様の作業奉仕をいただいた。市職員も精力的に復旧活動に携わってきた。市民と行政の防災意識の高揚を図り、また災害が発生した際には、行政と市民一体となった迅速な対応ができるようボランティア精神の涵養が人づくりの観点からも必要ではないかという認識を深めている。年とともにまちの形態や環境も変わり、これによって災害も非常に変わってくる。そういったものに対応する防災体制に伴うまちづくり、人づくりに取り組んでいきたい。


野中瀧雄 議員

小野地域のかんがい排水対策事業について

  • 議員 県営事業の現状と今後の計画について。
  • 市長 小野地域の湛水被害防止のため、県営湛水防除事業は昭和六十一年度に完成。三箇所の排水機場の総排水量は毎秒三十トン。県営排水対策特別事業は、平成二年度に着手し、全体の排水路改良総延長は一万八千四百三十八メートル。十年度までの進捗率は、事業費ベースで約四十六パーセント。地区全体の完成目標は、十九年度である。
  • 農林水産部長 小野東地区かんがい排水事業は、排水路改良延長四千三百九十メートル。天狗鼻への黒崎排水機移設後の総排水量が毎秒二十六トンとなり、天狗鼻樋門の排水能力を現在の約二・七倍の毎秒三十六・五トンヘ改修。供用開始を十四年の出水期からとしている。排水対策特別事業は、県道西側の三地区が平成十二年度完成予定で、赤崎地区が十一年度から十五年度。黒崎地区は十年度採択で十六年度完成である。梅崎地区は、十一年度採択予定である。


堤 勝義 議員

今夏の水害経験を今後の被害防止策に生かすことについて

  • 議員 被害者の救済策と災害復旧事業の申請に関する町内合との意志統一について問う。
  • 市長 どの程度の基準で行うか、被災地ごとに被災状況が異なるので、大変難しい問題であり今後の検討課題としたい。
  • 議員 民有地から民有地へのかけ崩れ等による土砂の除去は市でできないか。
  • 総務部長 民有地と民有地の被災問題については、実情は十分判るが、個人財産でありご理解をいただきたい。
  • 議員 落雷の常習地帯に避雷針を立てる必要はないか。
  • 総務部長 家庭のテレビ等が落雷により壊れたりするのは、ほとんど進入雷と言われるもので、コンセントに進入雷を逃がす器具を取りつけるか、コンセントから電気器具を外すかが必要である。
  • 議員 公有地の道路や施設が起因して災害が発生したときの市の対応は。
  • 土木部長 公有地が原因で被災を起こした所は、現地調査をして判断したい。


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