国営諫早湾干拓事業に関する再質問主意書と回答

一 生態系、環境アセスメント関連

1.
 平成9年6月18日提出の質問主意書の中で、諫早湾を含む有明海全体の底生生物及び魚類に関する調査を行ったことがあるかとの質問を行ったのに対し、平成9年7月22日付け政府答弁書において、政府は、九州大学、農林水産省西海区水産研究所などの調査結果を引用するだけであったが、その後の再質問に答えて、諫早湾干拓事務所が平成6年8月20日〜同23日の間に実施した調査結果として全有明海干潟の生物調査結果を公表した。このように調査結果を遅れて公表した理由は何か。

(答) 農林水産省九州農政局諫早湾干拓事務所(以下「諫早湾干拓事務所」という)が平成6年8月20日から23日までの間に実施した底生生物の調査結果は、長崎県諫早湾干拓協議会が平成9年5月に作成し配布したパンフレットにおいて引用され広く周知されたものであり、「遅れて公表した」という事実はない。
 なお、「国営諫早湾干拓事業」に関する質問に対する答弁書(平成9年7月22日内閣衆質140第33号)で九州大学理学部及び農林水産省西海区水産研究所の調査結果を取り上げたのは、当該調査結果が国営諫早湾干拓事業に係る環境影響評価書において引用されていること並びに有明海の底生生物及び魚類についての代表的な調査結果であることによるものである。

2. 上記調査結果によると、諫早湾干潟は、生物の種類では、8つの有明海干潟の中で最下位、1平方メートル当たりの生物の現存量も8番目で、上位にある干潟の約5分の2ないし半分に過ぎない。これらの調査結果は、民間の専門家の調査及び一般的な認識に著しく反する結果であり、しかも、この調査は有明海全体の広大な干潟全体をわずか4日間で行ったとあり、極めて信憑性に疑いがある。一体この調査は、誰が(調査者の名前、所属、経歴を明らかにする)、どのような方法で行ったものか。また、生物の種類、現存量欄の具体的な詳細を明らかにされたい。

(答) 諫早湾干拓事務所が平成6年8月20日から23日までの間に実施した調査は、財団法人国立公園協会に委託して、有明梅周辺の8か所の主要な干潟に各15か所ずつ設けた調査地点において、採泥器で底生生物を採集することにより行われたものである。
 また、当該調査の結果における生物の種類及び現存量は別表1のとおりである。

3. 農水省が現在捜索中という、長崎南部総合開発計画にかかわる環境影響評価書(九州農政局作成)及び昭和52年3月作成(環境編)、昭和52年5月作成(漁業編)、昭和54年3月作成(漁業編2)の「諫早湾淡水湖造成に伴う湾外漁業に与える環境影響評価報告書」(九州農政局・長崎南部総合開発調査事務所作成)によれば、本件事業による諫早湾干潟の消滅によって、諫早湾外の有明海の漁業に対して影響が及ぶという結論が書かれているが(別添)、この結論と本件環境影響評価書の「諫早湾以外の魚類等にはほとんど影響を及ぼすことはない。」という結論とはどのような関係にあるのか。 「南総計画」のアセスメントと本件アセスメントは一体のものではないのか。また、本件アセスメントの結論の根拠となったのはどのような調査(調査者、その所属、調査年月日、調査方法など)に基づくものかを明かにされたい。

(答) 長崎南部地域総合開発計画は、諫早湾の湾口部に潮受堤防を設置し、国営諫早湾干拓事業の締切面積の約3倍に当たる約1万ヘクタールを締め切る構想であったことから、魚類等に与える影響は、国営諌早湾干拓事業よりも大きく予測されている。
 なお、国営諫早湾干拓事業に係る環境影響評価に当たっては、昭和60年度から61年度にかけて、財団法人九州環境管理協会に対し、専門的見地からの検討を委託しており、同協会は、学識経験者からなる委員会を組織して、各分野からの検討を行ったところである。この委託調査の結果が、当該事業に係る環境影響評価書(案)となっている。

4. 渡鳥の移動について、政府答弁書では、事前に調査して実際にこれを確認したのではなく、根拠もなく単に移動を期待しただけであることが明らかにされた。結局、事後のモニタリングを行うというのであるが、もし、近い将来、モニタリングの結果、渡鳥の生態系(個体数、繁殖数など)に取り返しのつかない結果を生じたことが明らかになった場合、政府としてどのような対応を考えているのか。潮を入れて干潟の再生を図る可能性はあるか。何も対応策がないとしたら、締め切って干潟と生き物と鳥類を死滅させておいて、事後的にモニタリングをするということにどのような意味があるのか。 また、その場合、日本政府として、ラムサール条約やいわゆる2国間の渡鳥条約の締約国として国際社会ないし相手方政府にどのような責任をとるのか。

(答) 有明海の主要な干潟において、鳥類及び鳥類の餌となる底生生物の調査を実施するとともに、干潟間の鳥類の移動に関する調査を実施しており、これらの実地調査の結果等から、シギ、チドリ等が諫早湾の残存海域や他の有明海の在来干潟に移動すると見込んでいるものである。
 鳥類への影響については、今後とも、注意深く見守っていく必要があるが、平成9年9月の調査結果においては、諫早湾における鳥類の出現個体数が前年に比べ減少している一方で、筑後川区域、荒尾区域等では前年に比べ増加していることを確認している。

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