諌早干潟の賢明な利用について(要約)

1.懸命な利用とは

 ラムサール条約では、締約国に湿地の賢明な利用を求めている。その核心は、人間社会のために、湿地ならではの機能を持続的に利用することであり、機能としては、水質浄化能力、保水力、洪水調整力、地盤沈下防止力、人間の生産活動への寄与、文化的機能などがある。

2.湿地利用の留意点

 湿地には重要な資源がたくさんあるので、持続的利用が大切である。また、集水域全体、地域全体とのかかわりで利用を考えなければならない。さらに、国際的な渡り鳥の渡りのルートを維持する必要がある。

3.諌早湾干拓事業の経済的側面---費用対効果を考える

 工事費などの直接の費用、豊かな魚介類を生みだす漁業への影響、干潟の水質浄化力低下にともなう費用、環境や文化が潜在的にもつ経済的価値の消失、渡り鳥等を通しての外国の生態系への影響など、干拓事業にかかわる社会的な費用を十分に考える必要がある。また、防災効果や干拓農地での営農について費用対効果をきちんと検討すべきである。

4.諌早湾地域環境活用型経済開発構想
  (Isahaya Bay Area EcoxEco Project)

 ポーデルタ地方の経験に学び、諌早湾地域での環境活用型経済開発の方向を考える。諌早湾地域の最大の資源は、干潟の生態系とそれにつながる文化的営みである。干拓地のなかに新たに湿地環境を創造し、干潟と一体に、湿地環境とそれに根ざす地域文化を活かした地域経済開発をめざす、EcoxEco Projwct を提案する。干潟の再生には、潮受け堤防の撤去または部分開削がより望ましいが、とりあえずは水門の弾力的運用で、干潟の生態系を再生させる。
 干拓農地はほとんどの場合は劣悪農地であり、従来の農業と異なるタイプの、干拓地での生態系利用を検討することが賢明である。耕作放棄地などの湿地化を図り、魚の養殖、釣池などを農家(農協)の委託経営にするほか、水質浄化、大雨時の遊水池、農業用水の貯水池、地盤沈下抑制などの機能も期待できる。汽水域、干潟、淡水湿地がそろうことにより、Isahaya Wetlands Complex Park(複合湿地環境公園)の形成とエコツーリズムが可能となり、エコロジーとエコノミー(EcoxEco)の相乗効果が期待できる。また、漁業と干拓地農業を基盤とした産業の発展も期待される。


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