埼玉県立松伏高校文化祭「諫早は今」展示
科学同好会が高校生の視点から諫早問題を追求

埼玉県立松伏高校で、10月3〜4日に行われる文化祭において、同校科学同好会が「諫早は今」というテーマで調査研究を展示します。現地調査、WWFジャパンへのインタビューなどを含め、様々な視点から問題を追求し、高校生の視点からこの問題にアプローチをして、何が自分たちにできるかを考え、発表します。

会場では、実際の諫早干潟の土や貝殻を使った干潟のジオラマ(模型)やパネルでの説明、ビデオの上映など、趣向を凝らした展示が行われます。また、科学同好会ではこの文化祭に向けて「諫早干拓問題から干潟を考える」と題した、100ページ以上にもなる冊子を作成しています。


埼玉県立松伏高校文化祭

科学同好会誌「諫早干拓問題から干潟を考える」序文より
  
 わたしは、諫早湾の問題について締め切られた当時、テレビのニュースや新聞記事でしか見たことがありませんでした。「遠い土地での出来事なんだ。」程度のことしか考えなかったのを覚えています。はっきりいってあまり関心がなかったのです。しかし、今年の4月、諫早の水門が締め切られて1周年の特別番組をテレビでみたり、新聞各社が報道している様子を見たり読んだりしているうちに「イサハヤ」がだんだんと気になり始めました。その後、この科学同好会の活動で諫早湾干潟干拓問題について話し合うようになってきました。いろいろ調べていくと、日本の各地で同じように干潟がつぶされようとしていることに気づきました。例えば、藤前では、ごみ集積場のために。三番瀬では、湾岸整備、開発埋め立てのために。

 そこで、私ども科学同好会では、日頃の活動とは少し趣向を変えて、今年の文化祭のテーマを「干潟干拓開発問題」について、特に、諫早湾についての研究発表をすることに決めました。特に「自分たちに何ができるのか。」ということを最大のテーマに据え、現地調査、自然保護団体専門家のインタビュー、農水省の見解など調査研究をしてきました。「もう手遅れ」とあきらめないで、1年半たった今だからこそ訴えられる、1年半たった今だからこそしなくてはならないことを展示を通じて紹介していく予定です。そして、ひとりでも多くの方がこの問題に関心を持っていただき、一日も早くかつての豊かな干潟の戻せるよう、何らかの形で、ともに訴えていければと思っております。

 干上がった諫早湾の干潟には、今日もなお、したたかに生き続けている生き物たちがいます。わたしたち科学同好会化学実験室からの「干潟を取り戻せ」「第二、第三の諫早をつくるな」という願いが、遠く諫早湾に、まだ予定段階の各干潟開発予定地に、届いて欲しいと切に願っています。

 豊かな生物の子宮、豊かな生物のるつぼともいわれる干潟を取り戻し、そしてそれを守り続けていくために。

科学同好会会長 斎藤由佳    


TOP PAGE | INFORMATION | REPORT | LINK | LIBRARY