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佐賀地裁が干拓工事中止の仮処分を決定!
諫早干潟緊急救済東京事務所は事業中止を農水省に要請

 「よみがえれ!有明海訴訟」の仮処分申請で、2004年8月26日に佐賀地裁は諫早湾干拓事業の工事差し止めを命じる決定を行いました。

 佐賀地裁の榎下義康裁判長は、有明海の環境悪化による漁業被害と諫早湾干拓事業には因果関係があると認め、ノリ不作第三者委員会が提言した中・長期開門調査を見送った農水省の怠慢を厳しく批判。国は自ら進んで原因解明や事業の見直しを行うべきであり、このまま工事を進めればそれが困難になるとして、一審判決まで干拓工事の続行を禁じる命令を下しました。
 進行中の大型公共事業を差し止める仮処分決定はこれまでに日本では例がなく、画期的な判決と言えます。諫早湾の干拓工事現場では26日午後から、すべての工事が止まりました。

東京の農水省前で工事中止決定の第一報を伝える原告団(8月26日午前) 裁判所の命令を受けて、工事作業が停止した干拓工事現場(8月26日午後)

 この決定を受けて諫早干潟緊急救済東京事務所では、26日に行われた原告団・弁護団と農水省の交渉の席で、以下の要請文を提出しました。


2004年8月26日

農水省は、今度こそ、諫早湾干拓事業を中止すべきである!

諫早干潟緊急救済本部
諫早干潟緊急救済東京事務所

 本日、佐賀地方裁判所は、有明海の漁民の切実な訴えを認め、諫早湾干拓事業の工事を差し止める仮処分決定を下した。

 これは、諫早湾干拓が、有明海の環境に大きな影響を与え、漁業に深刻な被害を与えたことを認めるものであり、農水省は、事業を直ちに中止すべきである。

 有明海を宝の海として再生させるためには、潮受堤防の排水門の開放をできるだけ早く実現することが不可欠であり、将来的な潮受堤防の撤去についても具体的な検討を開始しなければならない。その際、中・長期開門調査の実施は、極めて重要なプロセスであり、農水省は、「中・長期開門調査見送り」の方針も早急に撤回すべきである。

 これまで、諫早湾干拓事業については、二回の大きな事業見直しの転換点があった。

 すなわち、2001年8月、九州農政局の事業再評価第三者委員会が事業の「見直し」を答申した時と、同年の12月、農水大臣が設置した「ノリ第三者委員会」が「中・長期にわたる開門調査」の実施を提言した時である。
 
 しかし農水省は、いずれの時も、詭弁を弄し、いたずらに時間稼ぎを繰り返したあげく、すり替えとごまかしで事業を推進してきた。もはやそのような真似は絶対に許されない。

 諫早湾干拓事業の問題に長く関わってきた私たちにとって、今回の仮処分決定は、画期的なものであることも間違いないが、ここまでの道のりが実に長かったとの思いがある。

 既に、有明海の環境は大きく変化し、漁業者への被害も深刻を極めている。もはや一刻の猶予も許されない状況である。

 私たちは、豊かな漁業の回復のためにも、美しい自然環境を取り戻すためにも、農水省に対し、直ちに事業を中止し、有明海再生のための抜本的な対策を講じることを強く求める。
 それに際し、諫早湾周辺の農業者や市民が求める農業用水・排水対策等については、農水省として十分な対策を講じるよう、あわせて要求する。地元の農業者や市民が必要とする対策は、諫早湾干拓事業以外の方法でも十分、対処ができるはずである。
 そのような対策が実施されれば、諫早湾干拓事業の中止が地元の利害対立をまねくことはなく、有明海の再生は、諫早湾周辺住民を含む、有明海沿岸の市民・漁民・農民すべての願いなのである。

 あとは農水省がメンツを捨てるだけである。私たちは、農水省が一日も早く英断を下すことを期待している。

以 上



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