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前面堤防本体着工への抗議

 諫早湾干拓の前面堤防の本格的な工事が、12月14日に着工されていたことが農水省からの聴き取りで明らかになりました。

 前面堤防の準備工事は、今年8月、有明海沿岸の漁業者が工事現場に集結して反対する中、だまし討ち的に開始されました。12月14日に新たに始まった工事はそれに続くもので、砂や砂利などを敷き、地盤改良用のドレーンを打ち込んでいく基礎工事で、盛り土へと進んでいく本格的な堤防本体建設の第一段階です。

 前面堤防の建設は、1997年の湾閉め切りに続く「第二のギロチン」として、環境保護団体や漁業団体などから強い反対の声が上がっています。また、福岡県有明海漁連や、有明海周辺の住民団体が、前面堤防工事中止の仮処分を求めて提訴中であるにもかかわらず、明確な通告や説明もないまま、工事を強行したことに対して、私たちは強く抗議します。

 諫早干潟緊急救済本部、諫早干潟緊急救済東京事務所、有明海漁民・市民ネットワークの3団体は、諫早湾干拓事業の前面堤防本体工事の着工に抗議し、12月27日に以下の抗議文を農水省に送付しました。
 

2002年12月27日

農林水産大臣・大島理森 殿

諫早湾干拓事業・前面堤防本体工事 着工への抗議

諫早干潟緊急救済本部     
諫早干潟緊急救済東京事務所  
有明海漁民・市民ネットワーク 

 農林水産省は、諫早湾干拓事業の2006年度完成を目指し、8月の前面堤防予備工事のだまし討ち的な着工に続いて、12月14日に前面堤防本体工事の着工を強行しました。
 前面堤防に関しては現在、福岡県有明海漁連、ならびに「よみがえれ! 有明訴訟」が、工事中止の仮処分を求めて訴訟中です。

 諫早湾干拓事業に関しては、農林水産省が設置したノリ第三者委員会(有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会)が、2001年12月にまとめた見解で、事業による有明海全体への悪影響を指摘しています。
 さらに、干拓工事による堤防閉め切りが、貧酸素水塊の発生や夏の赤潮など諫早湾の環境悪化スパイラルの主因となり、タイラギやアサリなどの漁獲に甚大な影響を与えてきたことは、もはや明らかです。

 本2002年、(財)世界自然保護基金ジャパン・(財)日本自然保護協会・(財)日本野鳥の会 が呼び掛け団体となった「有明海再生のための緊急声明」には、75万人の会員を有する米国NGOのシエラクラブをはじめ、世界の79か国、1541人、38団体からの賛同が寄せられました。国内からも、200ちかい団体と約3000人もの賛同が寄せられています。

 前面堤防が完成してしまえば、将来の干潟再生は極めて困難になります。ノリ第三者委員会や学識経験者の多くが必要としている、中長期開門調査の障害ともなります。
 諫早湾干拓事業の影響については、現在調査中であるにもかかわらず、工事を強行することは、道理に反するものであり、断じて許されません。

 私たちは、第二のギロチンと言うべき、この度の前面堤防本体工事の着工に抗議し、以下を要求します。

1 農林水産省は、有明海八代海の再生に支障をきたす、諫早湾干拓事業の前面堤防工事を即刻、中止すること。

2 農林水産省は、ノリ第三者委員会(有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会)の提言を尊重し、中長期開門調査を早急に実施すること。

以上


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