諫早湾干拓に関してゼネコン24社に公開質問状

 諫早干潟緊急救済本部、諫早干潟緊急救済東京事務所、有明海漁民・市民ネットワークの3団体は、9月10日、これまで諫早湾干拓事業の工事を受注している主要な建設会社24社に対して、諫早湾干拓事業に関する公開質問状を郵送しました。

 この公開質問状は、9月20日に行われる諫早湾干拓事業の前面堤防工事の入札を前に、入札への参加が予想される建設会社に対して、環境保護や諫早湾干拓事業に対する企業としての姿勢や、政治献金の目的、農水省からの天下りの是非などについて回答を求めるものです。

 質問状への回答は9月25日までとし、回答内容はマスコミやインターネットのホームページなどを通して一般公開する予定です。

 なお、農林水産省九州農政局は、当初、前面堤防本体工事の入札と開札を9月20日に行うと発表しましたが、9月6日付けで、入札書は前日までに農政局に届け、9月20日は開札のみという異例な形に変更しました。準備工事の入札の際に混乱が生じたため変更したとのことですが、そのことで明らかのように、前面堤防工事には多くの反対の声が上がっています。このような変則的な入札方法をとってまで工事を頑迷に押し進めようとする農林水産省の姿勢について、私たちは強く批判するものです。

公 開 質 問 状

諫早干潟緊急救済本部
諫早干潟緊急救済東京事務所
有明海漁民・市民ネットワーク

下記の質問にお答え下さい。回答はそれぞれの選択肢の中から一つを選び、記号を○で囲んで下さい。
ご回答の内容については、一般に公開する予定ですが、特に非公開のご希望がありましたら、その旨お申し出下さい。
ご回答は、2002年9月25日(水)までに、FAXまたは郵送でお送り下さい。

<質問>

1.

公共事業の工事などを参入する場合、工事の環境への影響を、貴社として独自に審査し、参入の是非を検討していますか。

a)
事業主体が環境アセスメントを行っていれば、企業として独自の環境影響評価は行わない。
b)
事業主体が環境アセスメントを行っていても、その妥当性について、独自に審査を行い、企業としての対応の是非を判断している。
c)
その他(自由記述:                   )
d)
わからない。
e)
回答できない。
2. 貴社は、諫早湾干拓事業の工事を受注してきた実績がありますが、この事業については、いわゆるノリ第三者委員会が、昨年12月にまとめた「諫早湾干拓地排水門の開門調査に関する見解」の中で、次のように述べ、事業が、有明海全体に悪影響を及ぼしている可能性を指摘しています。
『以上見たように、諫早湾干拓事業は重要な環境要因である流動および負荷を変化させ、諫早湾のみならず有明海全体の環境に影響を与えていると想定され、また、開門調査はその影響の検証に役立つと考えられる。現実的な第一段階として2ヶ月程度、次の段階として半年程度、さらにそれらの結果の検討をふまえての数年の、開門調査が望まれる。調査に当たって、開門はできるだけ長く、大きいことが望ましい。』

一方で農林水産省は、この第三者委員会の「見解」に基づく調査と、事業の推進を「切り離して考える」という姿勢で、事業の前面堤防工事に着工しました。この様な状況の中で、貴社は、今後も諫早湾干拓事業の工事に積極的に参加していく考えはありますか。

a) 積極的に参加していきたい。
b) 矛盾する場合もある。
c) その他(自由記述:                   )
d) わからない。
e) 回答できない。
3. 昨今では、建設業界を含め、多くの企業が環境への配慮を経営方針に掲げていますが、環境への悪影響が懸念されている諫早湾干拓事業を今後も受注するとしても、貴社の経営方針と矛盾しないと考えますか。
a) 矛盾しない。
b) 矛盾する場合もある。
c) その他(自由記述:                   )
d) わからない。
e) 回答できない。
4. 貴社は、自民党長崎県連に政治献金(*)を行っておられますが、これは、諫早湾干拓事業の工事を有利に受注することを期待してのものでしょうか。
(*) 1985〜2000年度の長崎県選挙管理委員会「政治団体収支報告書(要旨)」を基にした調査資料を参考にしました。
a) はい。
b) いいえ。
c) その他(自由記述:                   )
d) わからない。
e) 回答できない。
5. <農林水産省からの退職者を受け入れている企業のみお答え下さい>
貴社は、諫早湾干拓事業の発注者である農林水産省の退職者を取締役以上の役職に受け入れておられますが、これに対しては、官と業の癒着の典型として、社会通念上、不透明な関係であるとの批判がありますが、貴社としてはどのようにお考えですか。
a) 特に問題はない。
b) 問題がある。
c) その他(自由記述:                   )
d) わからない。
e) 回答できない。
ご協力ありがとうございました。

以上


公開質問状送付先一覧 (全24社)

五洋建設株式会社   環境対策委員会事務局
株式会社 間組    環境品質委員会事務局
株式会社 熊谷組   品質・環境管理部
株式会社 奥村組   品質・管理システム委員会
株式会社 鴻池組   総務部
株式会社 青木建設  施工本部 品質管理室
株式会社 大林組   環境専門委員会事務局
株式会社 フジタ   環境創造事業本部
佐藤工業株式会社   環境保全委員会 事務局
佐伯建設工業株式会社 総務部
鹿島建設株式会社   環境委員会 事務局
若築建設株式会社   地球環境委員会 地球環境部
大日本土木株式会社  総務部
三井建設株式会社   環境品質マネージメント部
西松建設株式会社   総合環境委員会
前田建設工業株式会社 環境担当保全部長殿
東洋建設株式会社   地球環境委員会・安全環境部
不動建設株式会社   総務部
りんかい建設株式会社 総務部
清水建設株式会社   地球環境部 安全環境本部 環境部
東亜建設工業株式会社 環境事業部
世紀東急工業株式会社 総務部
大成建設株式会社   環境マネージメント部
株式会社 大本組   総務部


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