諫早市長に水門開放について公開質問

 諫早干潟緊急救済本部と同東京事務所では、下記の「潮受堤防排水門開放に関する公開質問状」を、吉次邦夫・諌早市長に対し、2月26日に東京より速達で郵送いたしました。これは、昨今の有明海での養殖ノリ被害に関して議論となっている、諫早湾の潮受堤防排水門の開放に関して諌早市長の考えを問うものです。
 質問の回答期限は3月5日までとしておりますが、回答があり次第、当ホームページでその内容を公開する予定です。


諫早市市長 吉次邦夫 殿

2001年2月26日
諫早干潟緊急救済本部
諫早干潟緊急救済東京事務所

潮受堤防排水門開放に関する公開質問状

 各種報道によれば、貴殿は国営諫早湾干拓事業推進のお立場から、漁場の荒廃と防災機能の低下を主な理由に、排水門の開放に反対されていると伝えられています。他方私たちは、排水門の開放と事業の見直しによって諫早干潟と有明海の再生を願うものであり、残念ながらその置かれた立場は異にしています。とは言え、貴殿も私たちも「防災と漁業の両立」を願う点では一致できるのではないかと考えているところです。
 そこで私たちは、「防災と漁業」の双方を満足する排水門の開放方法をご提案しつつ、以下の三点について質問をしたいと存じます。公務ご多忙中恐縮ではありますが、2001年3月5日まで文書でご回答を頂きたくお願い申し上げます。


一.排水門流出入時の流速を抑えることは可能です。

貴殿は、狭い排水門を開けると速い潮流が生じて、潟土が堆積したり周辺の漁場が荒れるとお考えのようですが、現在も流速を調節しながら排出しているにもかかわらず、開門するとなぜ水流が速くなると主張されるのか、その根拠をお示しください。私たちの試算によれば、常時開門の際でも、潮汐と調整池の水位差に応じて水門開度(水門引き上げ幅)を調節することにより、流量・流速を人為的にコントロールすることが十分可能であることが明らかになっています。また調整池内のヘドロは事前に浚渫をしたり、汚水も開門当初は徐々に排出していくなど、漁場への影響を最小限に抑えるための技術的解決策を早急に検討すべきです。開門が絶対的に不可能という理由は見出し得ません。

二.諫干は市街地防災とは無縁です。

貴殿は、2月21日付け西日本新聞紙上で「市街地の防災機能も低下する」と発言されていますが、『諫早水害誌』(諫早市役所,1963年3月5日発行)359ページ末尾の記述(河口から2キロ附近で収斂)に照らしてもなお、この事業が市街地の防災に役立っているとされる根拠をお示しください。私たちは、99年7月23日の集中豪雨時の状況に明白なように、調整池の存在は河川の洪水防止には繋がらないので、別途河川対策が必要であると考えています。

三.諫干は湛水対策にも不十分です。

貴殿は、水門を開けると「背後地が排水不良になる」とも発言されていますが、その根拠をお示しください。私たちは常時開門後であっても、台風や大雨が予想される際には、事前に調整池水位を−1メートルに下げて一時的に閉門しておけば、背後池の湛水状況は現状よりも悪くなることはないと考えています。将来的には、調整池に頼ることなく、大型排水機場の増設や水路の拡幅などで湛水対策は十分に可能だと考えます。

以 上


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