「有明海の生きものたち」シンポ 2月17日・東京
―諫早湾など有明海の干潟の生態的価値を考える―

 干潟や河口域は、近年、その生態学的な重要性が指摘されているが、同時に人間による環境破壊の影響を特に大きく受けている場所でもある。今回のセミナーは、日本の海辺のなかで、ひときわ広大な干潟を有する有明海の生物相に焦点を当てる。有明海は日本最大の漁業生産力を有する内湾であり、また、特産生物の宝庫として特筆すべき海域でもある。有明海には、ムツゴロウをはじめとして日本の他の海域では見られない珍しい生きもの(いわゆる有明海特産種)がたくさん生息している。

 有明海の生物相の貴重さを示すのは、特産種だけではない。かつては日本各地の干潟に広く分布していたのに、現在は有明海以外ではほとんど(あるいは、全く)見られないという種もたくさんいる。これまでの開発の影響で、日本中から姿を消しつつある生きものの多くが、今なお有明海では健全に生き続けているのである。

 しかし、今日、有明海の環境は急速に悪化している。有明海の価値が社会に十分理解されないまま、大規模な開発や汚染が続いているためである。その結果、現在、有明海特産種・準特産種のほとんどすべてが「絶滅のおそれのある種」となってしまい、また水産資源の漁獲高も激減している。最も深刻な問題は、諫早湾で進行中の大規模干拓事業の影響であろう。有明海特産種の宝庫であった3,550haの浅海域を一度に消滅させる潮止めが1997年4月に実施された。同様の浅海域や河口域における開発は、有明海だけでなく、日本各地あるいは韓国などアジア各地でも進行中である。

 有明海には、もちろんアサリのような「普通種」もたくさんいる。有明海は、固有の地域性を持つ一方で、日本各地に残されている大小の干潟・河口域の代表的存在でもある。その意味において、これまで過小に評価されてきた日本中の干潟・河口域の生態学的価値をよりよく理解するため、講演者らによる共著「有明海の生きものたち」をもとに今回のセミナーを開催する。

■日時 2001年2月17日(土)13:00−17:00
■場所 環境パートナーシップオフィス会議室
(東京都渋谷区神宮前5−53−67 コスモス青山地下2階tel 03 3406 5180)
■交通案内 地下鉄表参道駅B2出口より徒歩8分
■参加費無料、事前申し込み不要
■主催者 有明海の生きものたちシンポジウム実行委員会

■プログラム
1)「有明海の環境と生物相の特性」佐藤正典(鹿児島大学)
2)「二枚貝類ー諌早湾を中心に」佐藤慎一(東北大学)
3)「巻貝の多様性」福田宏(岡山大学)
4)「干潟のイソギンチャク」柳 研介(千葉県立中央博物館分館 海の博物館)
5)「有明海の渡り鳥」花輪伸一(WWFジャパン)
6)総合討論 「これからの有明海の環境保全と環境教育に求めること」
  コーディネーター 東梅貞義(WWFジャパン)

※当日会場では、セミナー講師らにより執筆された新刊「有明海の生きものたち 干潟・河口域の生物多様性」(海游舎)を展示、紹介する。(以下、目次より)
 第1部 有明海とはどんなところか
 第2部 主な生物の分類・生態・分布
 第3部有明海と類似した大陸の干潟
 第4部 干潟・河口域の環境保全

※この件に関するお問い合わせは
 WWFジャパン自然保護室 東梅(とうばい)まで。
 tel 03-3769-1713  fax 0- 376- 1717